
工場の生産ラインの増強や倉庫の拡張を計画していたところ、工場立地法の緑地率の規定がネックになって計画が止まってしまった。
そんな状況に直面している担当者の方は、少なくないでしょう。設計が進んだ段階で法律の壁が発覚し、届出期限が迫る中で解決策を探している方もいるかもしれません。
実は、隣接する土地を購入せずとも、法令に沿って緑地率の不足に対応する方法は複数あります。
この記事では、工場立地法の緑地率が足りない場合に使える具体的な3つの解決策と、長期的に法令を守り続けるためのポイントを解説します。
増設計画を前に進めたい担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

増設計画を進める中で、なぜ緑地率の問題が発生するのでしょうか。
まずは法律の基本的な仕組みと、担当者が陥りやすい状況を見ていきましょう。
工場立地法は、工場の生産活動と周辺環境の調和を図ることを目的とした法律です。この法律では、一定規模以上の工場に対して、敷地面積の20%以上を緑地として確保することを原則として義務付けています。
対象となるのは、敷地面積が9,000平方メートル以上、または建築面積が3,000平方メートル以上の工場です。たとえば敷地面積10,000平方メートルの工場であれば、2,000平方メートル以上を緑地として維持しなければなりません。
建物や駐車場の面積が増えれば、その分だけ緑地に充てられるスペースは減ります。増設によって建物面積が拡大すれば、緑地率が規定を下回るケースが発生するのはこのためです。
緑地率の問題が厄介なのは、設計が相当進んだ段階で発覚することが多い点です。建築設計の段階では建物の配置や構造が優先されるため、緑地率の計算が後回しになりがちです。
いざ届出の準備を始めた段階で緑地が足りないことが判明し、計画の大幅な見直しを迫られるケースは珍しくありません。工場立地法では、着工の90日前までに届出が必要とされているため、発覚が遅れるほど対応できる選択肢が狭まっていきます。
増設計画の構想段階から緑地率を念頭に置くことが、こうした事態を防ぐ最善策でしょう。
緑地が足りないまま届出を出したり、先に増設を進めたりする判断は避けるべきです。
工場立地法に沿った手続きを踏まずに増築を進めた場合、行政から改善を求められることがあります。さらに、命令に従わない場合は罰則の対象となるため、企業の信用にも影響しかねません。
緑地率の問題は、後から帳尻を合わせるのではなく、正規の手続きの中で確認しながら進めることが大切です。

緑地率が足りない場合、大きく分けて3つの方向で解決策を検討できます。
コストがかからない方法から順に確認していきましょう。
実は、工場立地法の緑地率20%という基準は、自治体の条例によって緩和されているケースが全国各地にあります。工業地域や工業専用地域では、条例により緑地面積率が緩和されている自治体も少なくありません。
これは最もコストをかけずに緑地率の問題を解決できる可能性がある手段です。まず自社の工場が所在する自治体の地域準則を確認しましょう。
ただし、緩和の有無や緩和後の基準は自治体によって異なります。他の地域では5%だったから自社の地域も大丈夫とは限りません。必ず自社の工場がある自治体の窓口や担当部署に確認することが重要です。
自治体の緩和措置を確認してもなお緑地が足りない場合、次に検討するのが重複緑地の活用です。工場立地法では、屋上や壁面、駐車場などに設けた緑地を、一定の条件のもとで緑地面積に算入することが認められています。
つまり、平面の緑地だけでは足りなくても、屋上や駐車場を緑化することで不足分を補うことができるのです。重複緑地として算入できる範囲には上限があるため、自治体の基準を確認しながら計画する必要があります。
費用は緑化の方法や面積によって異なりますが、土地を新たに購入することと比べれば、現実的なコストで対応できる場合がほとんどです。緑化にかかる費用の決定要素は、屋上の耐荷重・緑化方法の選択・植物の種類・施工後の維持管理体制などによって変わってきます。
専門家に現地を確認してもらった上で見積もりを取りましょう。
重複緑地を活用する際、どの方法を選ぶかは業種や施設の条件によって変わります。
食品工場や精密機械工場では、衛生管理の観点から土や虫の発生を避けたいというニーズがあります。こうした施設には、土壌を使わないマット型の屋上緑化やプランターを活用した緑化が適しています。施工後の清潔さを保ちやすく、衛生管理基準との両立が可能です。
物流倉庫では、重機やトラックが頻繁に往来する駐車スペースへの緑化が課題になります。この場合、耐荷重性の高い緑化ブロックを用いた駐車場緑化が有効です。車両の荷重に配慮した緑化資材を選ぶことで、駐車場の緑化を検討できる場合があります。
工場の緑化対策については、以下の記事もあわせてご覧ください。
>>工場の省エネ・遮熱対策に緑化が選ばれる理由は?冷却効果と導入のポイント

緑地率の問題を解決しようとした際、どこに問い合わせるかと迷う担当者もいるでしょう。
しかし、この問題の解決には「法律の知識」と「植物・施工の専門性」の両方が必要となります。
工場立地法の緑地率対策では、自治体の基準や届出の確認だけでなく、実際に維持できる緑地計画を立てることも大切です。法的な判断や届出の内容については、必要に応じて行政書士などの専門家や自治体窓口に確認しながら進める場面もあります。
一方で、どの場所を緑化できるか、屋上や駐車場にどのような緑化方法が合うか、施工後に植物を維持できるかといった点は、造園会社が力を発揮できる部分です。
そのため、緑地率の不足に対応する際は、法令面の確認とあわせて、現地の状況に合った緑地の配置計画や植物選定、施工後の維持管理まで相談できる体制を整えておくと安心です。
関係機関や専門家と連携しながら進めることで、担当者が何をどこに確認すべきか整理しやすくなり、現実的な緑地対策を検討しやすくなるでしょう。
見落とされがちですが、緑地率の問題は緑化工事が完了すれば終わりではありません。法律をクリアするために設けた緑地であっても、その後に植物が枯れてしまえば、緑地面積が規定を下回るリスクがあります。
特に屋上緑化は、強風・乾燥・照り返しといった環境の影響を受けやすいため、最適な植物選定と継続的な管理が欠かせません。数年後に植物が枯れてしまうと、緑地として維持できているかを改めて確認する必要が出てくる場合もあります。
樹木医が在籍する造園会社であれば、工場の環境条件に合った植物の選定や、長期的な維持管理についても相談できます。施工して終わりではなく、緑地を健全に保ち続けることが、法令に沿った状態を維持するうえで大切です。
緑地率をクリアするための緑化を、単なるコストととらえる必要はありません。費用をかけるなら、企業価値の向上に結びつけられる緑化を設計するという発想もあります。
たとえば、駐車場の緑化はアスファルトの照り返しを抑え、夏の工場内の暑さを和らげる遮熱効果があります。空調の消費電力が下がればCO2排出量の削減にもつながり、環境配慮の取り組みとして社外に伝えやすくなるでしょう。
屋上緑化を従業員の休憩スペースとして整備すれば、職場環境の改善や採用力の強化にも波及します。
ゲリラ豪雨が増える昨今では、雨水を地面に浸透させる緑地が敷地の冠水を防ぐ減災機能を果たすこともあります。法令対応を起点に、安全・環境・従業員満足という複数の課題をまとめて解決できるかもしれません。

愛知県西尾市を拠点に創業100年以上の歴史を持つ梅松園では、樹木医の資格を持つ専門スタッフが、緑地の配置計画・施工・維持管理まで一貫して対応いたします。
「屋上や駐車場の緑化で法律をクリアできるか確かめたい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
西尾市・岡崎市・安城市をはじめとする西三河エリアの工場・施設を中心に対応しております。現地の状況を確認した上で、法令・施工・維持管理を踏まえた現実的なプランをご提案いたします。
株式会社梅松園
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